たかが一枚のハンカチ、だからこそ。

たかが一枚のハンカチ、だからこそ。

新しい人との出会いが、前に進む力になることがある。
ふと手に取った本が、一生の宝物になることがある。
知らない場所への旅が、価値観をひっくり返すことがある。

一つのもの、との出会いが、人生を変えるきっかけになることも、ある。
それを知っているから、人は、良いものをつくろうとするのかもしれない。

 

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大学に進学して、東京で一人暮らしをはじめることになったとき、親から一枚のハンカチを贈ってもらった。それまで使っていたタオルハンカチや、ふつうのチェックの薄いハンカチ、とは違って、なんとなく洗練された印象のあるハンカチだった。
ハンカチ、というものをちゃんと意識したのは、そのときが初めてだったと思う。

一人暮らしにかまけて、昼まで寝たりするようになって、実家にいたときは当たり前だった「毎朝ハンカチを選んで持つ」という習慣もほとんどなくなった。それでもたまに、ちゃんとしたいときにポケットに入れていると、その使い勝手に少しずつ気づいた。タオルハンカチほど分厚くないのに、しっかり水を吸ってくれる。広げると結構大きくなるから、たたみ方を変えて乾いた面を表にしたら、朝から晩まで気持ちよく使える。手入れが難しくないのも、一人暮らしには有り難かった。洗って広げて干しておくだけで、アイロンもいらない。適当に干してたたむだけで、それなりに様になってくれる。

東京に出て、大学生になって、最初は「ちゃんとした人として見られたい」という見栄だったと思う。けれど、実際にちょっといいハンカチを持つと、本当に背すじが伸びる気がした。

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mottaをつくっているのが中川政七商店という会社だと知ったのは、上京して一年ぐらい経った頃だっただろうか。東京駅の、KITTEに入っているお店に並ぶたくさんのハンカチを見て、「ここにあったんだ!」と嬉しく思ったのを覚えている。「mottaのハンカチをつくっている良いお店」として、中川政七商店のことも少しずつ好きになって、東京に遊びに来た親友を自慢げに連れて行ったりもした。その友人が、後で中川政七商店に就職したと聞いて、驚きながらすごく喜んだのを覚えている。

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就職して、スーツを着て、毎朝決まった時間に家を出るようになると、毎日ハンカチを持つようになった。もちろん、たまには忘れる。洗濯が終わっていなくて足りないこともある。それでも、何枚か並ぶハンカチのなかでmottaは、「大切な日に持つもの」だった。勝負ハンカチ、というと大げさだけれど、たとえば大切な人の記念日とか、それこそ面接の日とかには必ず、右後ろのポケットにmottaが入っていた。

誰かのお祝いや贈りものを選ぶときにも、mottaのハンカチは重宝した。使い勝手がよくて、見た目も良くて、価格も選びやすい。そして何より、自分が良さを知っている。良いものを大切な人に贈ることは、自分の方こそ嬉しいんだと知ったのも、mottaのお陰かもしれない。

 

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去年から今年にかけて、世の中が大きく変わっていくなかで、自分の仕事や生活を見直して、もっと、自分が好きな人やものに時間を使いたいと思うようになった。

偶然にもご縁があって、後を追うように、今度は自分が中川政七商店に転職した。その面接も、最初はmottaの話から始まった。「親からハンカチを贈ってもらったんです。」
親に転職のことを伝えるとき、「あのとき贈ってくれたmottaがきっかけだったんだよね」と言うと、喜んでくれていた。それを自分も嬉しく思った。

入社してすぐ、mottaのリブランディングの話を聞いた。声をかけてもらって、驚きながらも迷わずに参加した。自分が何気なく使っていた、この小さな四角い布に、こんなにも愛情を注いでいる人たちがいるとは、思いもしなかった。その熱に押されるように、少しずつ自分もハンカチに何ができるかを考えるようになった。

そこから半年が飛ぶように過ぎて、今日、これを書いている。

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一枚のハンカチをきっかけに、そのハンカチをつくっているブランドと会社にも興味を持つようになって、今度は自分がその一員になって、ハンカチのことを一番考える立場になった。

東京で一人暮らしをはじめて、いろんな人と出会って、いろんな場所に旅に出て、就職して、引っ越しして、転職して。その一日一日に、ずっと、右後ろのポケットにいた。ただの一枚のハンカチが、気づけば、ハンカチ以上の存在になっていた。

たかが、一枚のハンカチ。
それが、「良いものは、良いんだ」ということや、
「良いものづくりって、あるんだ」と知るきっかけになって、
人生を変えるきっかけになった。


8年前、はじめてもらったハンカチは、今でも現役で使っている。縁取りやネームタグはちょっとほつれたりしているけれど、まだまだ全然使えている。

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服は、写真に残る。
車は、遠くに連れていく。
家は、安心な居場所をつくる。

ハンカチは、写真に写らない。
遠くへも連れて行かない。
風や雨から守ってもくれない。

普段、あんまり意識されずに、
なんとなく当たり前にそこにある、
空気のような、小さな、四角い布。

でも、だからこそ。どんなときも、ハンカチは、そっと、ずっと、人の一日一日のそばにいてくれている。人ががんばっているときの汗を、ほっと一息つきたいときの手を、心が大きく動いたときの涙を、きちんと拭ってくれる。

日々のいろんな楽しさや哀しみや、人生の喜びや苦しみのそばにいるハンカチは、誰よりも自分のことを知っていて、そこからはみ出たりへこんだりした部分をととのえてくれて、また、いつものわたしに戻してくれる。

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いつも、畳まれたハンカチが並んでいること。
手を拭きたいときに、ちゃんと拭ける布があること。
そんな当たり前の繰り返しが、どんな楽しい日もつらい日も、ちゃんとあること。

毎日のベースラインがきちんとあるから、わたしはちゃんと、わたしらしく驚いたり、喜んだり、悲しんだりできる。それが、一週間、一月、一年とつづいて、わたしの人生がつくられていく。

ハンカチは、そんなふうに、日々のリズムをつくってくれているんじゃないか。変化が多くて慌ただしい毎日のなかに、そっと句読点を打つように、ハンカチを選んで、使って、洗って干して、戻して、またハンカチを選ぶ。

ハンカチは、身だしなみをととのえるものだ。
でもそれは、日々をすこやかに生きるための、
心のリズムもととのえてくれている。

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たかが一枚のハンカチは、たかが一枚のハンカチだからこそ、劇的じゃなくても少しずつ、誰かのよりどころとなって、日々によりそって、人生を支えていくことができる。

ちゃんと汗や涙を拭ってくれて、長いあいだ使えるハンカチが、誰もが手に取りやすい価格で、手に取りたくなるデザインで、たくさん存在する世の中は、

そうじゃない世の中よりちょっとだけ、でも確実にやさしいと思う。

だからわたしたちは、いまあらためて、ハンカチをつくりたい。
もっと、たくさんの人の一日一日に、そっとよりそうハンカチを。

ハンカチだからこそできることを、
「身だしなみも、心もととのえる」という価値を、
もっと世の中に届けていきたい。

「リズム、ととのう、ハンカチ。」という新しいmottaのコンセプトに、
そんな想いをこめて。

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はじめまして。ハンカチ専門ブランド「motta(モッタ)」のブランドマネージャーをしている、中川政七商店の野村隆文と言います。2021年11月3日=ハンカチの日に新たに再スタートを切ったmottaというブランドが、これまで考えてきたこと、これからやりたいことを、数回に分けてお話したいと思います。
今回は、わたし自身のmottaとの出会いの話をしました。一枚のハンカチをもらった自分が、今度は一枚のハンカチを通して、その魅力を伝えていく番になりました。そんな不思議な縁をくれたハンカチに感謝しながら、今日から改めて、mottaとともに毎日を過ごしていきたいと思います。
次回はもう少し、コンセプトやビジョンにまつわる話をします。


つづく

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